普段よく飲むビールだけど、そもそもビールって何からできているの?
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
ビールは麦芽、ホップ、水、その他の原料から作られています。
それではもう少し詳しくビールの原料について見ていきましょう。
目次
ビールを作るために必要な4つの原料
この4つの原料というのは日本の法律によって決められています。
法律は以下のようになっています。
ビールとは・・
麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの
(ビールの4つの原料)
・麦芽(ばくが)
・ホップ
・水
・その他の原料
それでは次からはビールの原料として表示されている「麦芽」「ホップ」「水」の3つの原料について見ていきましょう。
ビールの原料 麦芽
麦芽(ばくが)って何?
麦芽って何?と気になる方もいらっしゃるでしょう。
→麦芽は「麦を発芽させたもの」です。
麦を発芽させる事でアルコールと炭酸ガスを作り出す事ができます。
ビールの原料 ホップ
ホップという名前はビールを飲む人なら聞いた事がある人が多いのではないでしょうか?
あなたはホップって何?と聞かれるとどのように答えますか?
ホップとは?
上記画像はホップになりますが、つる性の植物で主に北海道を1つの産地としています。
ホップが気になる方は下記をご覧ください。
1つの花に雄株(おかぶ)と雌株(めかぶ)があり、これを雌雄同株(しゆうどうしゅ)と呼びます。雌雄異花同株と呼ぶ方もいらっしゃいます。
ちょっと難しそうな名前ですが、ホップとは何か?を考える際はカボチャ、キュウリ、メロンがどのようにできるのかイメージすると分かりやすいかもしれません。
カボチャができるためには花が咲かなければなりませんが、実は花が咲けばカボチャができるというわけではありません。
分かりやすく男女で説明をすると、男性の花と女性の花の2つが咲きます。そしてそれぞれの花の中には雄しべと雌しべがあり、雄しべの花粉が雌しべにつくとカボチャができるのです。
このようにカボチャなどは雌雄同株でしたが、ホップはこれとは違うのです。
ホップは雌雄同株ではなく雄株と雌株が別々にあり雌雄異株(しゆういしゅ)と呼び、銀杏やキュウイも雌雄異株です。
そして、ホップに利用されるのは雌株のみとなります。
ビールにおけるホップの役割
ホップの事は分かったけど、ビールにホップはそんなに必要なの?そんなに重要なものなの?と思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで次はビールに欠かせない「ホップの役割」を見てみましょう。
これが分かると普段飲んでいるビールも「これがホップかぁ」と分かってきて今までより美味しくビールを味わうことが出来るかもしれません。
ホップの役割
役割というと少し難しく感じてしまいますが、ホップを簡単に言えば・・
「ビールの味や香り」といったものをどのようにするのか決めているのがホップです。
ビールには何とも言えないほろ苦さや爽快さがありますが、このような味を作っているのがホップなのです。
いかがですか?
あの味がホップなんだなぁとお分かりいただけたのではないでしょうか?
ビールの広告・宣伝にも「ホップが~」とあるのを見た事はありませんか?
ホップはビールにとって欠かす事のできないものでありビールの1つの特徴を決めているからですね。
ビールの苦さはホップから?
ホップの成分であるアルファ酸は熱変化の工程においてイソアルファ酸になります。
このイソアルファ酸がビール特有の苦みや爽快さを作っています。
難しい言葉はおいといて、ホップがビール特有の苦味や爽快なものを作っているということは、ビールになくてはならない存在であることが分かります。
ビールの苦さ
ビールがどのくらい苦いのかといった数値を表すものがあります。
それはアルファ酸がどのくらい含まれているのかIBUといったもので判断します。
日本のビールの苦さはIBU15~30くらいとなっていますが、世界で最も苦いビールはIBU2,500です。
ホップはビールには欠かせない存在だという事が分かりましたが、実はもう1つとても重要な役割があります。
ホップのもう1つの役割
ビールを見ておいしそうだなと思うのってどういった時ですか?
見た目でビールと判断する大きなものとして「泡」があります。
ホップのもう1つの役割はこの泡です。
ホップと泡
ビールの泡は見た目をおいしく見せるだけではなく、ビールの品質を左右する重要な役割をもっています。
ホップ次第で「泡持ち」も違ったりします。
こうしてみると、ホップには様々な役割がありビールの生命線であるといってもいいでしょう。
これまでビールの原料として麦、ホップを見てきました。
次は3つ目の原料である水を見てみましょう。
ビールの原料 水
お酒を造るときは水が非常に重要でいいお酒は水がきれいな所でできることはご存知でしょう。
ビールにとっても水は重要で、ビールの成分の90%以上は水になります。
水次第でビールの出来を大きく左右しますが、皆さんが普段飲んでいる水をそのまま使うわけではありません。
飲料水をビールの特徴・性質に合わせて「醸造用水」にし、硬度を調整してはじめてビールとしての『水』が出来上がります。
ここで水と硬度について少し確認をしておきましょう。
水と硬度・・軟水と硬水
ビールと水の硬度
ビールに使われる水は軟水・硬水によってビールの出来は違ってきます。
ドイツは硬度が高い水であるためビールの色は濃く、日本のように硬度が低い水を使っているビールは黄金色になります。
水の硬度
水の硬度はカルシウムとマグネシウムがどれだけ含まれているかで決まり、含まれている量が多いほど硬度は高くなります。
→濃度が高いほど硬水となり低いほど軟水となります。
日本の水道水は軟水なため日本人は軟水に慣れています。
そのため硬度が高い硬水は飲みづらいと感じる方またはお腹が緩くなる方もいらっしゃるでしょう。
海外旅行をして食事が合わなかったりといった事がありますが、水の硬度は国によって随分と違うため硬度が非常に高い国だとかなり飲みづらいかもしれません。
濃度による水の分類
濃度 | 水質 |
0~70 | 非常に軟水 |
70~140 | 軟水 |
140~210 | 普通 |
210~320 | やや硬水 |
320~530 | 硬水 |
530~ | 非常に硬水 |
上記表の「非常に軟水」に位置する水は日本の水道水になります。
今あなたはミネラルウォーターなどの水をお持ちではありませんか?
栄養成分表示にカルシウムとマグネシウムがどのくらい含まれているのか記載されています。
また、多くの場合は硬度も記載されているのでどのくらいの硬度がある水なのか確認する事ができます。
(硬度は記載義務はないため記載がない場合もあります)
硬度が知りたい
硬度表示がなくてもカルシウムとマグネシウムの記載があるので硬度を計算する事ができます。
硬度はこのように計算します。
硬度={カルシウム×2.5+マグネシウム×4.1(メーカーによっては4.0)}×10
100ml中の表示が多いので、その場合は10倍にして1リットル(1,000ml)に直してあげれば硬度を計算する事ができます。
※500mlの場合は2倍にして1リットルにしてあげます。
それでは実際に2つの飲料水を使って硬度を計算してみましょう。
硬度を計算
・「富士の恵み バナジウム」
カルシウム0.97mg、マグネシウム0.33mg
0.97×2.5+0.33×4.1=3.78より10倍にすると37.8
⇒硬度は37.8
・「エビアン」
カルシウム8.0mg、マグネシウム2.6mg
8.0×2.5+2.6×4.1=30.66より10倍にすると306.6
ただし、エビアンは4.0をかけるので30.4となり10倍すると304
⇒硬度は304
このようにして硬度を計算する事ができますが、計算するには電卓等が必要になります。
おおよそでいい場合はカルシウムとマグネシウムを足してそれを30倍すると硬度が出ます。
(エビアン8.0+2.6=10.6 これを30倍すると硬度は300くらいと分かります)
硬度は基本的には記載されているので計算方法を覚える必要はありません。
先ほどの硬度の分類表を見ると
「富士の恵み」は硬度38なので0~70の「非常に軟水」に分類され、
「エビアン」は硬度304なので210~320の「やや硬水」に分類される事が分かります。
普段何気なく飲んでいる水であっても実はこのように硬度が全く違う事が分かります。
ビールの原材料 まとめ
以上、ビールの原料について紹介をしましたがいかがだったでしょうか?
ビールには4つの原料があり、中でも3つの原料は特に重要なものでした。
・麦はビールを作るためにはなくてはならないものであり、麦からアルコールと炭酸ガスができました。
・ホップはビール特有の苦みや香りさらには品質の影響を与える泡を作っていました。
・水はビール用に醸造したものを使い、水の質によってビールの出来を左右してしまうというものでした。
こうしてみると、ビールの原料はどれ1つも欠く事ができない重要なものであるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
ビールを飲むときは「麦、ホップ、水」を考えながら飲むとビールを一層おいしく感じることができるかもしれません。
次の記事はこちら
・ビールの作り方とは?
⇒【ビール】製造工程・・製麦工程と麦芽とは?